関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

小樽と蒲鉾

中野美菜はじめに小樽は地理的な好条件などから、蒲鉾産業が発展してきた。昭和30年代後半には、技術革新などに伴い、蒲鉾店は小樽全体で約70店にのぼった。しかし、その後200海里問題、食品添加物問題をはじめとした問題や、日本人の食文化の変化に…

小樽の繊維問屋史  ―問屋商人たちの足跡をたどる―

中前 亜侑子 はじめに 北海道の数ある都市のなかでも、特に観光地としてその名を知られる小樽。景観豊かな港町、あるいは運河の残るレトロなまちといったイメージの強い小樽だが、ここがかつて札幌を凌ぐ商業の中心地であったということを知る人は少ない。 …

ゴムと小樽

吉村 歩 第1章 小樽とゴム工業(1) 繊維問屋からゴム工業へ 小樽のゴム工業の起こりは、富山の繊維問屋である戸井物産の小樽支店長だった中村利三郎が当時の日本ではまだ珍しく、高価だったゴムに目を付けたところから始まるとされている。現在の小樽市役…

ガンガン部隊〜流通の先駆者の繁栄から衰退まで〜

ガンガン部隊〜流通の先駆者の繁栄から衰退まで〜土井麻奈未はじめに 終戦後、一億総買い出しの時代に、小樽では大きなブリキ缶に食糧を詰め込み、それらを背負って行商を行う人々の姿が多くみられるようになった。(写真1)食糧不足のこの時代は、小樽だけ…

小樽とガラス

はじめに 小樽ではガラス産業が盛んである。ガラスの浮玉・ガラス製のランプ・工芸品をはじめとして様々なものが特産として名を連ねている。その中でも、小樽のガラス産業の礎とされているガラスの浮玉がある。本調査では、ガラスの浮玉を通して発展した小樽…

1小樽と和菓子 2小樽と精米事業

1小樽と和菓子 外村 美里 第1章 (1) 研究動機 事前調査の段階で小樽には和菓子屋・餅屋が多いということがわかり、これに疑問をもった。何故小樽という港町においてそのような店が現在多く存在するのか。現地でのフィールドワークはこれをテーマに調査…

小樽に広がる銭湯文化

小樽に広がる銭湯文化井谷 亜沙美第1章 銭湯とは何か 銭湯—その歴史は古く、約900年前の平安時代から存在し、現在のように街中に銭湯が出現したのは江戸時代のことであった。当時は蒸風呂式の“風呂屋”と、湯船に浸かる方式の“湯屋”の二種類の銭湯が存在し…

樺太(海馬島)引揚げと小樽

樺太(海馬島)引揚げと小樽 大木 言葉1.日本と樺太 1−1.樺太の歴史 樺太は北海道のさらに北に位置する島で、面積は北海道よりも少し小さい。北緯50度を境界とし、南側を南樺太、北側を北樺太と呼ぶ。現在樺太にはロシア連邦がサハリン州を置いている。北樺…

「ソーラン節発祥之地」はどこか?−ソーラン節と余市・積丹−

川本 彩 はじめに −ソーラン節と余市・積丹− (1)北海道に二つあるソーラン節発祥の地の碑 北海道には、ソーラン節の発祥の地の記念碑が2つある。 一つは、北海道余市町豊浜にある。(写真1)彫られてある内容:「ソーラン節発祥之地」 建立年:昭和36…

「寺と遊女」

「寺と遊女」 坂口 晴香はじめに佐野眞一著『誰も書けなかった石原慎太郎』を読んだ。その中で遊廓・遊女に関する記述があり、小樽では開拓使制度のため官営で遊廓をつくったというところに興味を持った。さらに小寺平吉著『北海道遊里史考』を読むと、遊女…

小樽と地酒

小樽と地酒 〜なぜ、小樽で酒造業は栄えたのか〜 日野 秀哉はじめに小樽は多様な地場産業に支えられて成長してきた都市である。特に、硝子産業や水産加工業そして菓子産業などは今でも小樽を代表する主要な地場産業となっている1)。これらの小樽を代表する…

「桜町」と「堺町」

「桜町」と「堺町」 渡邉 那奈はじめに 「小樽」と聞くと何を思い浮かべるであろう。運河、ルタオ、倉庫群。今や観光地と化した小樽であるが、昔はニシンの漁が盛んで、北前船の往来により栄えていた時代もあった。時代をさかのぼれば、小樽の歴史的背景が見…

小樽と小豆

小樽と小豆二上 愛第一章 小樽と小豆産業(1)栄光とその時代 小樽における小豆の豆撰産業の発達は、明治22年(1899年)に小樽港が特別輸出港に指定され、日本でも有数の貿易港として発展していくことと大いに関係する。小樽港で取り扱う品目は石炭、海産物…

「火災都市」小樽と「ブン公」伝説

「火災都市」小樽と「ブン公」伝説 今北 有美はじめに小樽と聞いて我々が思い浮かべるのは小樽運河とそれに並ぶレトロな石造りの倉庫である。今では小樽観光において外すことのできない大きな目玉となっている。しかし、倉庫は当初から観光が目的で建てられ…

小樽のニュータウン

小樽のニュータウン 木戸 彩香はじめに 北海道小樽市という土地を聞いて思い浮かぶのは、小樽運河、レンガ造りの倉庫、市場など港に関することでではないだろうか。それは、今日の小樽が観光地化され、マスメディアでも観光地として報じられ、視覚的に我々の…

俗地名から見る高島

俗地名から見る高島 尾崎 有香子はじめに 俗地名とは、実際の住所としては存在しない地名のことであり、その土地に住む人々によって名付けられたものである。今回の調査を進めるにあたって我々独自で俗地名と称し、以下もそのように記す。俗地名はその土地の…

そば屋から見る小樽のまち

1 小樽とそば屋 ・小樽にそば屋が多いわけ 明治時代、北海道は政府によって開拓され、また多くの天然資源の多い土地でもあった。特に夕張や美唄は石炭がよく取れた。その石炭などを本州に運ぶために小樽は政府の政策で本州と北海道をつなぐ強固な懸け橋とな…

小樽と映画館

吉田 依里香はじめにアメリカの発明王エジソンがキネトスコープを発明したのは明治22年(1889年)のことだった。その7年後の明治29年の秋、日本の神戸に初めてキネトスコープが上陸し、新開地を拠点に次々と映画館ができる。そして早くもその1年後小樽の小樽…

大学院進学希望のみなさんへ

【民俗学の大学院(関西学院大学大学院)2023年度院生募集】 民俗学を専門に学び、修士・博士の学位を取得できます。専任教授は島村恭則、桑山敬己、鈴木慎一郎。他に鈴木正崇慶應義塾大学名誉教授、塚原伸治東京大学准教授、周星神奈川大学教授、河合洋尚東…

高島の伝統行事とアイデンティティ

高島の伝統行事とアイデンティティはじめに このレポートは社会調査実習の一環として、北海道小樽市で行った調査をまとめたものである。私は小樽市の一地区、高島地区にて主に聞き取り調査を行った。その上で、高島地区における七夕行事、高島越後盆踊りとい…

小樽遊廓史

小樽遊廓史永田 拓也第1章 遊廓の誕生(1)遊廓が生まれるまで 17世紀末から、幕府を中心とした農業の振興政策によって、農業の肥料であるに鰊粕の需要が急激に伸び、北海道各地には、鰊の漁場として人々が集まるようになった。 出稼ぎ人が多く集まると…

社会学部 島村恭則ゼミ(『ポプラ』2010年春号掲載)

社会学部 島村恭則ゼミ 木戸彩香さん 社会学部3年生 「民俗学」をテーマにフィールドワークをしています。「赤穂の塩」「今治のタオル」「西宮のスイーツ」など、個人でテーマを決めて「なぜその場所に伝わっているのか」を調べます。テーマはゼミ生の地元…

島村恭則とは

島村 恭則 (しまむら たかのり)関西学院大学社会学部長(2023年4月1日~) 同教授。 関西学院大学大学院社会学研究科委員長(2023年4月1日~) 同教授(博士後期課程課程指導教授) 博士(文学)。 1967年、東京都杉並区生まれ。筑波大学大学院博士…

島村恭則ゼミとは

2014年度 社会学研究演習Ⅰ セミナーガイド「島村恭則ゼミ」 【研究テーマ】 日本と世界のフォークロア 【研究内容】 フォークロア(folklore)とは、何らかのコンテクストを共有する人びと(これをfolkといいます)の間で生み出され、生きられた、経験(…