織田怜奈
【要旨】本研究は、現代における講について兵庫県加古川市八幡町宗佐をフィールドに実地調査を行なうことで、その実態を明らかにしたものである。本研究で明らかになった点は、次のとおりである。
1.宗佐において現在でも活動している講は、稲荷講、伊勢講、山上講の三つである。
2.時代の変化に伴い、祭礼を行なう日が土日祝の休みの日になっていたり、祭礼が多少簡素化されていたりする。
3.地域の人びとの講への参加は、民俗宗教への信仰という意味もあるが、同時に娯楽や地域内での繋がりを保つという意味も持っている。
4.稲荷講と伊勢講に関しては、信仰という意識より地域の伝統や祠などを維持するための、地域の住民としての役割という意識で参加する人が多い。
5.山上講は大峰山で修行を行なう。
6.山伏であった織田兵次郎は、山上講で先達をしたり呪術で怪我の治療などを行なったりする一方で、村会議員など様々な役職を務め、人びとからの支持を得ていた。
【目次】
序章 問題と方法
はじめに
第1節 フィールドとしての宗佐
第2節 問題の確認と本論文の構成
第1章 稲荷講
第1節 大嶋稲荷講
第2節 大崎稲荷講
第2章 伊勢講
第1節 保所伊勢講
第2節 大北伊勢講
第3章 山上講
第1節 宗佐の山上講
第2節 宗佐に生きた山伏
結語
総括
文献一覧
【本文写真から】
【謝辞】
本論文の執筆にあたり、宗佐の住民の皆様には大変お世話になりました。永惠俊宏さん、竹中芳継さん、小田亀生さん、竹中勇夫さん、織田吉文さん、山内麻菜美さんには特にご協力いただきました。このたびはご尽力を賜り、心より感謝申し上げます。