関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

横浜の御嶽信仰ー横浜御嶽神社の成立と展開ー

平田里佳

 

【要旨】

 

本研究は神奈川県横浜市に存在する横浜御嶽神社をフィールドに実地調査を行うことで、横浜御嶽神社の成立と展開を明らかにしたものである。本研究で明らかになった点は、つぎのとおりである。

 

1.横浜御嶽神社は初代先達、森巳之助が明治時代初期に木曽御嶽山で修行を行い木曽御嶽神社により御分霊を勧請し社を建立した。

 

2.御嶽教に所属し神奈川懸起立講を結成し、森巳之助が主に横浜南部、横須賀、鎌倉方面の家々に森巳之助が自らの脚で出向き崇敬者を集めた。

 

3.本殿の中央には国常立尊(くにとこたちのみこと)、大己貴命(おおなむちみこと)、少彦名命(すくなひこなのみこと)の3柱を合わせた御嶽大神が祀られている。境内には「御嶽不動尊」、「御嶽稲荷社」が存在する。

 

4.横浜御嶽神社から北に約300m先に遥拝所がある。御嶽山に深く関わった方々が亡くなる御嶽山に魂がやどり「霊神」と呼ばれ、霊神碑が集まっている場所を遥拝所と呼んでいる。

 

5.毎月行われている行事として毎月1日と9日に先達が護摩木を焚き上げその浄火で力を授かりお願いごとを祈願する護摩行を行っている。

 

6.御嶽信仰の中で大切にしている神がかりを行う儀式である「御座立て」は15年ほど前まで行っていた。御座立てには7人の行者が必要であり現在は高齢化による人手不足のため儀式は行われていない。

 

 

7.御嶽山に登り参拝する御嶽登拝は神奈川懸起立講として明治33年から行っている。昭和後期は約80名で登拝していたが近年は数名で登拝を行っている。

 

【目次】

 

序章 御嶽信仰とはなにか

 

第1章 森巳之助と神奈川懸起立講

 

第1節 森巳之助のライフヒストリー

第2節 神奈川懸起立講

第3節 崇敬者たち

 

第2章 横浜御嶽神社と御嶽山遥拝所

 

第1節 横浜御嶽神社の成立と展開

第2節 祭神

第3節 遥拝所

 

第3章 御座立て

 

第1節 御嶽教と御座

第2節 横浜御嶽神社の御座

 

第4章 御嶽山登拝

 

第1節 御嶽教と御嶽山登拝

第2節 横浜御嶽神社と御嶽山登拝

 

結語

 

文献一覧

 

謝辞

 

【本文写真から】

写真1 森巳之助(嶽寛霊神)

写真2 横浜御嶽神社鳥居

 

写真3 横浜御嶽神社本殿内

写真4 横浜御嶽神社遥拝所

 

写真5 護摩行



【謝辞】

本論文を執筆するにあたり、多くの方々にご協力いただき心よりお礼申し上げます。お忙しい中貴重なお時間をいただきお話しを聞かせてくださいました渡邊俊平氏、森克己氏、横浜御嶽神社の崇敬者の方々のご協力なしには本論文は完成にいたりませんでした。本当にありがとうございました。