境のぞみ
【要旨】本研究は、伊和神社(兵庫県宍粟市)の三つ山大祭・一つ山祭について、播磨国総社射楯兵主神社(姫路市)の三ツ山大祭・一ツ山大祭との関係も含めて考察したものである。本研究で明らかになった点は、つぎのとおりである。
1.伊和神社と播磨国総社では、三つ山と一つ山の祭礼の間隔が逆になってはいるものの同じ名称の大祭であること。
2.射楯兵主神社に伊和神社が合祀されて播磨国総社になったこと。
3.播磨国葬社の大祭の場合にも時間をかけて三つの山を作り、それが重要な役割を持っていること。
4.大祭の表記の仕方が異なっており、伊和神社の文献では「三ツ山」ではなく「三つ山」と書かれているのに対し、播磨国総社の文献では「三ツ山」と表記されていること。
5.一つの山三つの山を祀るという祭りの形式は共通していること。
6.伊和神社と播磨国総社で行われる内容を比較すると、自然の山に対して人工の山を祀るというところに大きな違いがあること。
7.祭礼そのものは、時代とともに両社それぞれ独自の方向へと変化しているが、播磨国総社の三ツ山大祭で最初に行われる、三基の造り山の上での祭礼である山上祭も伊和三山の盤座の前に置かれた祠の前で行われる祈りと通じるものがあること。
8.総社の祭神と伊和神社の祭神は同じであると考えられていること。
【目次】
序章
第1節 問題の所在
第2節 伊和神社
第1章 伊和神社の三つ山大祭
第1節 伊和三山
第2節 三つ山大祭
第2章 伊和神社の一つ山祭
第1節 宮山
第2節 一つ山祭
第3章 播磨国総社の三ツ山大祭・一ツ山大祭との比較
第1節 播磨国総社
第2節 三ツ山大祭
第3節 一ツ山大祭
結語
文献一覧
【本文写真から】
【謝辞】
本論文を書き上げるにあたり、兵庫県宍粟市一宮町での現地調査にご協力いただいた、道の駅播磨いちのみやの皆様方に心より厚く御礼申し上げます。