関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

宝くじの民俗学-布施ポッポアベニューチャンスセンターの事例-

山田 馨

【要旨】

本研究は、宝くじについて、大阪府東大阪市・布施をフィールドとして現地調査を行うことで、宝くじの現状と売り場から見た将来について明らかにしたものである。本研究で明らかになった点は、次のとおりである。

1, 宝くじは、地方自治体の財政資金を調達し、収益金を公共事業などの資金に充てることを目的として売り出されており、販売総額のうち、約 47%が当選金として当選者に支払われる。約 14%は印刷経費や売りさばく際の手数料、1.5%ほどが社会貢献広報費、約40%が収益金として利用されている。

2, 布施は現東大阪市の旧地名で、近鉄布施駅周辺のことを指す。布施戎神社があることから「えべっさんの町」として親しまれている。

3,布施ポッポアベニューチャンスセンターは、縁起のいい名字の販売員が多くいることでメディアに取り上げられたこと、近くに布施戎神社があることから、幸運の売り場として有名店となった。

4,宝くじの売り上げは減少傾向にあり、売り上げ回復には若年層を取り込むことが重要とされている。売り上げ低迷の理由として考えられることは、還元率が低すぎることと、主な購入層であった中高年層が年金受給者となっていることである。

5,2018年、宝くじのネット販売が開始された。売り場の販売員にとって、お客さんとコミュニケーションをとりながら販売することが仕事の楽しみややりがいのひとつである。しかし、ネット上ですべて完結することが新しい層に宝くじを購入してもらうためには重要な政策である。

【目次】

序章 問題と方法

第1章 宝くじ

第1節 宝くじとは

第2節 収益金の使途

第3節 歴史

第2章 「えべっさんの街」布施

第1節 東大阪 布施

第2節 商店街の形成

第3節 布施戎神社

第3章 布施ポッポアベニューチャンスセンター

第1節 布施ポッポアベニューチャンスセンター 

第2節 従業員 恵美須屋理代子氏の語り

第3節 来店客 N氏の語り

第4章 現場から見た宝くじの現状と将来

第1節 宝くじの現状

第2節 ネット販売

結び

謝辞

文献一覧

【本文写真から】

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写真1 布施ポッポアベニューチャンスセンター看板

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写真2 布施ポッポアベニューチャンスセンター

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写真3 布施戎神社 戎像

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写真4 布施戎神社

【謝辞】

本論文執筆にあたり、お忙しい中お話を聞かせてくださった布施の商店街の皆さま、お忙しい中お時間をいただきお話をしてくださった布施ポッポアベニューチャンスセンターの恵美須屋様、客として来店しているにもかかわらずお時間をとってお話をしてくださった方、ご協力いただきありがとうございました。

皆様のご協力なしには本論文を完成させることはできませんでした。心よりお礼申し上げます。