高樋凌平
【要旨】
本研究は、大阪市中央区難波の煙草屋「司光」をフィールドに実地調査を行うことで、130年間存続している煙草屋の歩みを明らかにしたものである。本研究で明らかになった点は、次のとおりである。
- 岡村商店の創業者である岡村定次郎氏は、伊勢亀山藩で勘定奉行の役職にあった岡村家の出である。
- 定次郎氏は、戊辰戦争をきっかけに大阪へ出て行く。その後、十数年の試行錯誤ののち、岡村商店を創業した。
- 創業当時は、法善寺・竹林寺への参拝者に対してキセル用のタバコを販売することが主だった。
- 1954年、岡村商店から株式会社司光となった。
- 司光になって以降の歩みは、人生の大半を司光で過ごした4代目賢司氏のライフヒストリーからうかがえる。
- 株式会社となった司光は、梅田・堂島・阿倍野の三箇所に支店を構えた。
- 1971年、賢司氏は仕事として初めて海外へ行った。フランスやデンマークを中心に、パイプに関する学びを深めた。
- 1973年、ロンドンにある「ダンヒル」へ赴き、そこで本格的にパイプの仕入れを行なった。
- 1979年、スイスの会社「ダビドフ」から葉巻取り扱いの依頼を受けた。
- 1988年、葉巻の勉強のためにキューバへ赴く。
- 現在は息子の啓司氏に業務の大半を委ね、サポート役に回り、司光を支えている。
【目次】
序章 研究の意義 |
はじめに |
第1章 司光の来歴 |
第1節 亀山から大阪へ |
第2節 岡村商店創業 |
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第2章 岡村賢司氏 |
第1節 幼少期 |
第2節 青年期 |
第3節 海外へ出る |
第4節 賢司氏とパイプ |
第5節 賢司氏と葉巻 |
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結語 |
文献一覧 |
【本文写真から】
【謝辞】
本論文の執筆にあたり、多くの方々のご協力をいただきました。
特に、司光について、そして自身のライフヒストリーをお話ししていただいた岡村賢司氏には感謝の意を示したい。
彼のご協力なしには、本論文の完成には至りませんでした。今回の調査にご協力いただいたことに心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。