関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

「鯖街道」の民俗誌 

「鯖海道」の民俗誌
保 智也

【要旨】

 本研究は、福井県小浜市と京都、この2拠点を結ぶ「鯖街道」を民俗学の視点から調査を行い、論述していく。本研究で明らかになった点は、次のとおりである。


1.「鯖街道」という言葉は戦後に誕生したものである。

2.鯖街道は1本の道の名称ではなく、多数の街道や峠道の総称である。

3.交通整備が発達するまで、小浜から京都へ徒歩で荷を運ぶ「荷持ち」と呼ばれる業者たちが活躍していた。

4.荷持ちは時代と共にその姿を変え、徒歩から自転車、鉄道など交通手段が変わっていくと同時にその姿は消えてしまった。

【目次】

序章 鯖街道の始まり「福井県小浜市」――――――――――――――――――――3

第1章 街道文化の起こり―――――――――――――――――――――――――5
第1節 街道の構造........................................................5
第2節 交通と暮らし......................................................6
第3節 交易の歴史........................................................7

第2章 荷持ちの生活―――――――――――――――――――――――――――9
第1節 荷持ちの生活......................................................9
第2節 荷持ちの軌跡〜小浜・上中・今津・出町柳〜..........................13
第3節 荷持ちと漁師と職人の町“西津”....................................17

第3章 現代の鯖街道―――――――――――――――――――――――――――19
第1節 現代に残る街道の足跡..............................................19
第2節 鯖街道の復活......................................................20

まとめ――――――――――――――――――――――――――――――――――21

文献一覧――――――――――――――――――――――――――――――――23

【本文写真から】


(写真1) 荷持ち


(写真2) 鯖街道起点


(写真3) いづみ町


(写真4) トロ箱に積まれた鯖

【謝辞】

 本研究をする際、文献とフィールドワークを中心に進めていった。その間、現地調査では当時の様子を知る地元の方々に非常にお世話になった。ボランティア観光ガイド「若狭の語り部」会長、岡尾正雄氏、同会員、山本久江氏、独立行政法人国立青少年教育振興機構事業推進課、山田紀子氏、小浜市漁業組合の漁師さんたち、その他大勢の方々にお礼申し上げる。