関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

幽霊子育飴

7月10日の講義(多文化・共生論)で、6月に巡検に行った「幽霊子育飴本舗みなとや」さんについて取り上げさせていただきました。フォークロアとは、独立した text として固定的に標本のように存在しているようなものではなく、context の中で perform され、
communicate されるものであること、すなわち、フォークロアは、dynamic な communication の process であることを、みなとや20代目当主段塚きみ子さんの語りの performance の事例を通して解説したものです。段塚さんは、ご自身の家に代々語り継がれてきた幽霊子育飴という text を、六道の辻、みなとやという context の中で perform しています。そして、この performance によって、過去(the Past)と現在(the Present)が connect (接続)され、また、段塚さんと多く人びとがlinkされているのです。フォークロアとは、このような process 全体のことにほかならず、フォークロ研究では、このような dynamic な process のことを、Living Folklore(生きているフォークロア) と表現しているのです(下の写真の黒板を参照)。


講義の様子 (撮影:安田朱音)




講義の様子 (撮影:安田朱音)




幽霊飴の画像 (撮影:安田朱音)




配布資料 (「五百年の飴」みなとや提供。撮影:安田朱音)


【受講生のコメントより】
・今日とりあげられた幽霊飴の話は、フォークロアを学ぶ上で本当に役立ちました。特に、幽霊飴について話してくださった段塚さんのパフォーマンスに注目することがフォークロア研究で重要であると思いました。(3回生)
・物質(物体。幽霊飴)とテクストがそろった状態でパフォーマンスされることで、コミュニケーションになることがよくわかりました。(3回生)
・今日聞いた幽霊子育飴の話で、地域に伝わっている伝統や伝説が、語り継がれることによって生きたフォークロアになるという話はとても興味深いなと思いました。そして、そうすることで昔とつながることができるというのは面白いと感じました。(3回生)
・(15回全体の感想)この授業を受けるようになって、ある珍しいものなどを町で見かけると、「ヴァナキュラ〜!」というのが口ぐせになってしまいました! 日常で少し意識してみると、たくさんのヴァナキュラーがあることに気づけるようになったので、この授業を受けてよかったと思います。(1回生)