関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

理論民俗学研究会

【このページは、ゼミのブログのページですが、以下、ゼミとは別に行なわれる学外の一般研究会のお知らせを掲載します。ただし、ゼミ生の参加も歓迎します】


このたび、民俗学に関わる新たな研究会である「理論民俗学研究会」が発足しました。この会は、人文社会系諸分野における社会文化理論をめぐる学際的状況の中で、そうした状況を十分に把握したうえで、「民俗学ならでは」の理論構築をめざす、あるいは、北米、ドイツをはじめとする諸外国のフォークロア研究の理論を参照しつつ、日本の民俗学の理論を構築する、ということを目的とした研究会です。

この研究会は、先端的で尖鋭的な議論を行なう場であることはもちろんですが、あわせて、広く民俗学に関心を持つ大学院生や学部生、研究者の皆さんにお集まりいただき、民俗学理論について学びあう、民俗学理論の教育、普及、啓蒙の場としての性格を持ったものにもしていきたいと考えています。

第1回研究会は、以下のとおり開催いたします。


■理論民俗学研究会第1回研究会

・日時:2014年5月31日(土) 13:30〜18:00

・場所:関西学院大学梅田キャンパス(アプローズタワー10階1005教室)
阪急・阪神・地下鉄梅田駅・JR大阪駅下車、徒歩5〜10分。アクセスは、
http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/index.html
をご参照ください。西宮上ケ原キャンパスではなく、梅田での開催ですのでご注意ください。


・プログラム

13:30〜14:00 本研究会の目的および運営について
 
14:10〜16:00 報告:島村恭則関西学院大学社会学部)
タイトル:「フォークロア研究とは何か」(この案内の末尾に報告要旨を掲載)


16:10〜18:00 総合討論:「民俗学における〈理論〉の位置づけを考える」
司会:山 泰幸(関西学院大学人間福祉学部) 


18:00〜 懇親会(梅田にて)


・研究会参加費:無料

・参加申込み:不要。ただし、懇親会参加ご希望の方は、会場準備の都合上、できるだけ5月25日(日)までに、事務局あてメール(アドレスは下記)でご連絡ください。



・問い合わせ、メールの宛先:

理論民俗学研究会事務局
folkloristics67@gmail.com
〒662-0872 西宮市上ケ原一番町1−155 関西学院大学社会学部島村研究室


 

■報告要旨「フォークロア研究とは何か」(島村恭則
 報告者は、これまで「民俗学」を自らの専攻分野としてきたが、近年は、民俗学を批判的に継承・発展させたディシプリンとしての「フォークロア研究(Folkloristics)」を自らの専攻分野であると位置づけている。本報告は、報告者が構想する「フォークロア研究」について、その概要を論じるものである。
 フォークロア研究とは、人文社会系諸学の学際的状況の中に成立するディシプリンの一つである。その目的とするところは、フォークロア研究をとおして世界の成り立ちについて解明することである。フォークロア研究は、これまでの民俗学の知的伝統を批判的・発展的に継承したものであり、以下の六つの特性要素の複合をプロトタイプとして構成されるディシプリンである。
 ①フォークロア(何らかのコンテクストを共有する人びと(folk)の間で生み出され、生きられた、経験(experience)・知識(knowledge)・表現(expression)のこと)を研究対象とする。
 ②社会・文化を厚い歴史の地層(時間性)の上に成立するものと考え、「現在」の事象を「過去」との照合によって解析することを方法論の中核に据えている。
 ③人と「もの」(物質文化)との関わりを重視する。
 ④文献学(philology)的知識や言語感覚(言語についての全体的・総合的な判断力)が対象把握に際して重要な役割を果たす。
 ⑤フォークロアを生み出し、生きる人びと(folk)や彼らが暮らすフィールドと、研究者・学界との間に、深い相互性(reciprocality)がある。
 ⑥いわゆる「輸入学問」ではない。生成母体となった言語圏において内発的に発生した。
 本報告ではこれらの特性要素について解説を加えてゆく。なお、この新たなディシプリンを、「民俗学」ではなく、「フォークロア研究」と呼ぶのは、これまでの民俗学との差異を明確にしようとするためであるが、その際、英語Folkloreをカタカナに直した「フォークロア」の語を用いるのは、この学問を、世界中に存在するフォークロア研究(Folkloristics)と対話可能なものとして構想していることを明示しようとするためである。

日本民俗学会会員の皆様は、『日本民俗学』278号(5月刊)をご持参ください。なお、本報告は、同誌掲載の島村恭則フォークロア研究とは何か」の議論を、さらに発展させ、かつわかりやすく解説する内容となっています。)




多くの方のご参加をお待ち申し上げております。


理論民俗学研究会
 山 泰幸(関西学院大学人間福祉学部教授)
 島村恭則関西学院大学社会学部教授)
 谷岡優子(関西学院大学大学院社会学研究科・事務局担当)