2012年度島村ゼミ第一回の巡検について報告します。6月9日、今回私たちがフィールドワークしたのは京都の鳥辺野、いわゆる東山といわれる地域の一部を巡検してきました。鳥辺野は、「死者の世界」、つまり空間構造として「あの世」と位置づけされてきたエリアです。
*9日の日程
13:00 京阪電車清水五条駅集合
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大谷本廟
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六道珍皇寺
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幽霊飴
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六波羅蜜寺
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建仁寺
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八坂神社
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高瀬川
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誓願寺
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六角堂
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夕食
それでは巡検スタートです。この日は4回生の谷岡さんと秦さん(京都出身)もご一緒してくださいました。本来清水五条駅に9:30集合の予定でしたが、あいにくの雨で延期も危ぶまれましたが、時間を遅らせて無事実施することが出来ました。曇りの分より一層“あの世”不気味さを感じられた気がします。
最初にスタート地点から巡検のルートを確認しながら、空間構造のレクチャーを受けました。
途中で何か面白いものを発見して目をキラキラ輝かせる先生、こうした発見が出来るのがフィールドワークの醍醐味ですよね。島村ゼミの巡検ではこのようにちょっとした寄り道が多いのが特徴的かもしれませんね。
大谷本廟とは浄土真宗の開祖である親鸞聖人のご廟所です。また、本願寺発祥のゆかりの地であるとともに全国の門徒のご遺骨を納めているところです。喉仏だけ納骨されるところもあるとのことです。親鸞聖人90歳で往生されご遺骨は鳥辺野北辺の大谷に納められましたが、親鸞聖人滅後10年を経て娘や遺弟たちが大谷に廟堂を立て、聖人の遺骨と影像を安置しました。その廟堂がこの大谷本廟であり、やがて本願寺となったのです。
続いて地図を広げながらやってきたのは六道珍皇寺。
この付近はかつて死者を鳥辺野へ葬送する際の野辺送りの場所で「六道の辻」とよばれ、この世とあの世の境と言われていたそうです。鳴らすとあの世の人がやってくる迎え鐘というものがありましたが、先生は嬉しそうに2回も鳴らしていました!!本当に呼びよせちゃったらちょっと恐ろしいですよね。六道とは仏教の地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の6種の冥界のことで、本堂の裏にある井戸は、昼は嵯峨天皇、夜は閻魔大王に仕えた小野篁が冥土へ通ったという伝説があります。この井戸は覗き見することができましたが一般的な美しい庭と井戸という印象でした。
次は六道珍皇寺からすぐ近くにある幽霊飴を買いにきました。
なぜ幽霊飴という恐ろしい名前なのか。
慶長四年、夜な夜な店に飴を買いにくる女性がいて、不審に思った店主が女性をつけたところ墓場につきました。赤ん坊の泣き声のする墓を掘り返してみると、女性の死体と生きた赤ん坊が。その赤ん坊を助けてから女性は店に訪れなくなったという…それからいつしか幽霊飴と呼ばれるようになったそうです。
幽霊飴は琥珀色て大きさは不揃いの飴で、味はべっこう飴に似て甘くおいしかったです!小さい袋が300円、大きい袋が500円で販売されていました。
そこからすぐ近くの六波羅蜜寺にやってきました。
六波羅蜜寺といえば「南無阿弥陀仏」という念仏が六体の阿弥陀として口から現れている鎌倉時代運慶作の空也上人像が有名ですよね。他にも平清盛像や運慶坐像など重要文化財がたくさんありました。
六波羅蜜寺は空也上人によって開創されたもので、当時京都に流行した悪疫退散のため、上人自ら彫った仏を車に安置して市中を曳き回りついに病魔を鎮めたといわれています。
寺内には「金」のところから三回回すと願いが叶うといわれるものや、願い事を書いた石がたくさんあったり、パワースポットのようなかんじもあり、楽しむこともできました!
その後寄り道で「世界一小さな浮世絵博物館」に寄ったあと、京五山の建仁寺に行きました。
そして八坂神社に行ってきました。全国の八坂神社や素戔嗚尊を祭神とする神社の総本社です。祇園祭を形にしたのが八坂神社であり、八坂というのは坂が多いからそういうそうです。
誓願寺は元々西陣にあり、清少納言が剃髪した寺と言われ、女性が籠る寺とのことです。 世阿弥の謡曲『誓願寺』は和泉式部と一遍上人の物語で、寺内に扇塚があるそうですが、私たちがいったときにはすでに閉まっていて見ることはできませんでした。誓願寺は芸道上達のご利益があるとも言われています。
最後の目的地は六角堂。
六角堂は聖徳太子が沐浴してたときに観音様からお告げがあって祀れ!と言われたことから造られたといわれ、池坊花道 いけばな発祥の地とされています。しかしまたしてもすでに閉まっていて中に入ることは出来ませんでした。
またしても最後に寄り道で出雲阿国像へ。
このようにたくさん歩いてフィールドワークし、京都の空間構造を感じるとともに、巡検の仕方というものを学んだ濃い一日でした。
最後は皆疲労困憊のようでしたが、最終的に12キロ以上歩き通したということには自分たちでびっくりでした‼
夕食は河原町でコストパフォーマンスがよく、いわゆる「〜ぽいところ」を探して歩いた結果、木屋町にある「京料理と京都に地酒 京の炉端屋」にていただくことにしました。
中に入ると御膳が並びいかにも“京都らしい”というかんじの店内でした。お料理も「お麩ピザ」という食感重視(笑)のものや、「抹茶焼酎」といってその場でお茶をたて作ってくださるお酒などユニークなものが多かったです。
たくさん学んで、歩いた後の食事はほんとうに幸せで、皆の距離も一層縮まりました。