関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

2019 民俗学 サマー・セミナー

関西学院大学世界民俗学研究センターでは、「2019 民俗学 サマー・セミナー」を開催しました。

2019 民俗学 サマー・セミナー

2019年9月2日(月)10:30 ~19 : 00
関西学院大学大阪梅田キャンパス

全体テーマ:「民俗学をいかにつくるか」

開設記念講演

 講演1 島村恭則(関西学院大学教授) 「民俗学をいかにつくるか」

 講演2 山 泰幸(関西学院大学教授) 「哲学カフェと民俗学」

若手シンポジウム「民俗学をいかにつくるか」

第1部 基調報告「民俗学をいかにつくるか」
 三隅貴史(関西学院大学大学院) 「批評とはどのような行為か」
 孫 嘉寧(関西学院大学大学院) 「理論とのつきあい方」
 宮澤早紀(佛教大学大学院) 「現在と向き合う」

第2部 研究実践報告「研究の現場から」
 倉田健太(総合研究大学院大学) 「行為から意識へ―新居浜太鼓祭りにおける喧嘩の変遷―」
 雷 婷(東京大学大学院)   「ローカル芸術としての中国・金山農民画」
 李 軒羽(関西学院大学大学院) 「中国の現代伝説―研究史を中心に―」
 坂元美咲(関西学院大学大学院) 「災害の記憶継承をめぐる民俗学的検討―福井地震(1948)を経験した永平寺町を事例に―」
 市東真一(神奈川大学大学院)  「フィールドとの対話と発見―松本市街地での体験を通して―」
 渡 勇輝(佛教大学大学院)   「日本における民俗学知の形成―大正期の「国民道徳」研究との関連から―」
 山﨑 遼(立命館大学大学院)  「欧米現代民俗学の一例―スコットランドの少数民族トラベラーの研究―」

講評・総括  桑山敬己(関西学院大学教授)

第3部 若手交流会(懇親会)

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招待講演「ディオニュソスとヴァナキュラー: 民俗学的視角とは何か」

2019年7月6~7日に韓国・翰林大学校で開催された国際シンポジウム「ポスト帝国の文化権力とヴァナキュラー:民俗学から日常を問う」で招待講演「ディオニュソスとヴァナキュラー: 民俗学的視角とは何か」を行ないました。

このシンポジウムは、翰林大学校、実践民俗学会、日常と文化研究会の共催、韓国政府教育部、韓国研究財団等の後援により、ドイツ・アメリカ・中国・韓国・日本の研究者が、ポスト・コロニアル状況における文化権力をめぐって、ヴァナキュラーの視点から議論することを目的に開催されたものです。

日本からは、岩本通弥東京大学教授、周星愛知大学教授、山泰幸関西学院大学教授、田村和彦福岡大学教授、門田岳久立教大学准教授、東京大学大学院博士後期課程の川松あかりさんが参加しました。f:id:shimamukwansei:20190708170657j:imagef:id:shimamukwansei:20190708170703j:imagef:id:shimamukwansei:20190708170728j:imagef:id:shimamukwansei:20190708170802j:imagef:id:shimamukwansei:20190708170842j:imagef:id:shimamukwansei:20190708170912j:image

地元紙で調査実習の様子が紹介されました。

『室蘭民報』2019年6月11日付朝刊より

 関西学院大学(兵庫県西宮市)社会学部の学生たちが、社会調査実習のため7日から10日まで室蘭市内に滞在し、労働者文化や信仰、風習などについて調査した。市民の協力を得ながら声を聞き取り、飛び込みの取材を重ねて「室蘭像」を浮かび上がらせた。
 現代民俗学が専門の島村恭則教授のゼミに所属する3年生の男女11人。室蘭は鉄鋼や製鋼、造船などの現場で働く労働者が形成した文化が息づき、伝統的な信仰が受け継がれ、戦後は新たな宗教が生まれた地。研究対象となるテーマが揃ったまちとして、地方都市研究の舞台に初めて選んだ。学生らは1人または2人で聞き取り調査し、労働者の生きざまや、地域の歴史を記録した。
 B級グルメとして定着した「室蘭やきとり」が労働者にどう受け入れられ、食べられていたかをテーマに、市内の焼き鳥店をはしごして調査した岩渕香奈さん(20)は「同じ室蘭の焼き鳥店でも地域によって客層や営業形態が違う点が面白い」と感じた。
 8日の夕方、輪西町の八条通りにある老舗焼き鳥店「鳥よし」。すべての焼き鳥を1品ずつ頼み、ソフトドリンクとともに味わいながら店主の小笠原光好さん(81)に質問を繰り返す岩渕さんの姿があった。約1時間の取材で、工場の交代勤務に合わせて営業していたことや、仕事で失敗しても上司が「ここでおしまい」と翌日に持ち越さない場になっていたことなどを丁寧に聞き取った。
 職場でも住居でもない「第3の場所(サードプレイス)」として独自の発展を遂げた焼き鳥店は室蘭を象徴する場所のひとつ。島村教授は「近代の社会は非合理なものをできる限り排除してきたが、サードプレイスやお化けといった非合理なものを人間はなくすことはしなかった。非合理なものをモザイク状に重ね合わせると、まちが立体的に見えてくる」と話す。
 その上で「実習は過去の記憶の蓄積を発掘する術(すべ)を身に付ける練習になる。学生の多くは西日本の地方都市出身。古里に戻ったとき、視野が変わる」と狙いを話した。
 実習の成果は、ストーリー性を持たせたレポートにまとめ、協力者に事実確認をした上で、ゼミのホームページ上に公開する。(野村英史)

http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2019/06/11/20190611m_03.html

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鉄のまち室蘭の都市民俗調査

 世界民俗学研究センターの研究・教育活動の一環として、2019年6月6日から10日まで、北海道室蘭市において都市民俗調査を実施しました。調査員は、関西学院大学社会学部島村恭則ゼミの3年生11名で、「社会調査実習」の授業として行なったものです。

 調査テーマは、「民間宗教者と北海道岩木山神社」「清滝寺の霊泉と不動明王信仰」「天照教―戦後室蘭で生まれた新宗教―」「室蘭の座敷わらし」「労働者文化としての室蘭やきとり」「社宅街のくらしと記憶」「鉄鋼マンの生活誌」「現代の番屋―漁船乗組員の集団生活―」「イタンキ漁港と漁民のくらし」です。

 かつて、アメリカの民俗学者、リチャード・ドーソン(Richard M. Dorson)は、都市民俗学黎明期の作品として、 Land of the Millrats (1981)を刊行しましたが、これはインディアナ州の製鉄都市をフィールドとした研究です。今回、室蘭をフィールドに選んだ背景には、本書の存在があります。

 調査成果は、本年秋に世界民俗学研究センター、および島村研究室のホームページ上で公開の予定です。

 現地調査でご協力いただきました室蘭の皆様に深く感謝申し上げます。

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世界民俗学研究センターが設置されました。

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 2019年4月1日、関西学院大学世界民俗学研究センターが設置されました。本センターは、次の5点を目的として、関西学院大学特定プロジェクト研究センターの一つとして設置されたものです。

 

1.世界民俗学に関する国際的情報収集

2 世界民俗学の理論構築

3 世界民俗学に関する国際的情報発信

4 世界民俗学に関する研究者養成

5 世界民俗学に関する対社会的知識公開

 

 センターの研究員は、関西学院大学の民俗学・文化人類学担当教員を専任研究員とし、アメリカ、ドイツ、ブルガリア、中国、韓国、日本の民俗学において第一線で活躍する研究者を客員研究員として組織しています。

 センターでは、具体的事業として、理論民俗学研究会の開催、関西学院大学民俗学・文化人類学リブレットシリーズの刊行、若手研究者養成セミナーの実施、大学院教育、民俗学に関する学術情報の公開と普及活動などを行なっています。

 センターについての詳細は、世界民俗学研究センターのホームページ​をご参照ください。

         https://www.kg-folklore.com/

 

 

 関西学院大学世界民俗学研究センター長・教授 島村 恭則

シンポジウム「物質文化・文化遺産・生活様式」

「物、文化遺產與生活方式」工作坊

2019年3月23-25日,南方科技大學,中國 深圳

Objects, Cultural Heritage and Lifestyle

Workshop to be held on 23-25 March 2019

Southern University of Science and Technology, Shenzhen, China

 

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Chengwei LIN 林承伟教授

Taipei National University of The Arts 国立台北艺术大学


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Xiaochun LIU 刘晓春教授

Sun Yat-sen University 中山大学


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Yongyi YUE 岳永逸教授

Beijing Normal University 北京师范大学


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2018年度卒業式

2019年3月18日 2018年度 関西学院大学卒業式が行なわれました。

また、同日、島村ゼミの川路瑞紀さんが、社会学部優秀論文賞 最優秀論文賞を受賞し、社会学部チャペルにて授賞式が行なわれました。

受賞論文は、「廃仏毀釈のゆくえ―鹿児島県日置市「妙円寺詣り」の事例―」です。

同論文は、2019年秋刊行の『関西学院大学社会学部紀要』第132号に全文掲載の予定です。

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京都民俗学会卒業論文発表会

京都民俗学会卒業論文発表会

2019年3月16日、立命館大学

 

赤井詩織(関西学院大学社会学部)

「パフォーマンス化するススキ提灯―奈良県御所市鴨都波神社の事例―」

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川路瑞紀(関西学院大学社会学部)

「廃仏毀釈のゆくえ―鹿児島県日置市「妙円寺詣り」の事例―」

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京都民俗学会
kyoto-minzoku.jp

 

大学院集中講義 武田俊輔准教授(滋賀県立大学人間文化学部)

大学院集中講義 武田俊輔 滋賀県立大学人間文化学部准教授

社会学特殊講義Ⅰ・社会学特殊研究Ⅰ

2019年2月13-15日

【授業目的】

 この講義では現代日本の地域社会における文化資源と、それにともなう社会関係・社会構造について論じる。そうした文化資源の分析においては、農村社会学における地域資源、コモンズ論における自然資源とその管理の仕方をめぐる研究等について参照しつつも、それとは異なる視点から研究を行う必要がある。
 まずは担当者自身による、都市祭礼や農山漁村の民謡・民俗芸能、ローカルな放送メディアといった対象に関する社会学的研究を手がかりとして具体的に論じていく。その上でこの講義のテーマや対象と関連する研究テーマ(例えば地域社会・メディア・歴史的環境・民俗文化・文化遺産等)を持つ受講者による報告・討議をできるだけ取り入れたい。

【到達目標】

 地域社会や文化資源に関する研究のアプローチについて理解し、またそれを自身の研究に活かせるようになること。

【キーワード】

文化資源 都市祭礼 民俗芸能 放送メディア 民俗文化 文化遺産 地域社会 歴史的環境

研究者詳細 - 武田 俊輔

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宝くじの民俗学-布施ポッポアベニューチャンスセンターの事例-

山田 馨

【要旨】

本研究は、宝くじについて、大阪府東大阪市・布施をフィールドとして現地調査を行うことで、宝くじの現状と売り場から見た将来について明らかにしたものである。本研究で明らかになった点は、次のとおりである。

1, 宝くじは、地方自治体の財政資金を調達し、収益金を公共事業などの資金に充てることを目的として売り出されており、販売総額のうち、約 47%が当選金として当選者に支払われる。約 14%は印刷経費や売りさばく際の手数料、1.5%ほどが社会貢献広報費、約40%が収益金として利用されている。

2, 布施は現東大阪市の旧地名で、近鉄布施駅周辺のことを指す。布施戎神社があることから「えべっさんの町」として親しまれている。

3,布施ポッポアベニューチャンスセンターは、縁起のいい名字の販売員が多くいることでメディアに取り上げられたこと、近くに布施戎神社があることから、幸運の売り場として有名店となった。

4,宝くじの売り上げは減少傾向にあり、売り上げ回復には若年層を取り込むことが重要とされている。売り上げ低迷の理由として考えられることは、還元率が低すぎることと、主な購入層であった中高年層が年金受給者となっていることである。

5,2018年、宝くじのネット販売が開始された。売り場の販売員にとって、お客さんとコミュニケーションをとりながら販売することが仕事の楽しみややりがいのひとつである。しかし、ネット上ですべて完結することが新しい層に宝くじを購入してもらうためには重要な政策である。

【目次】

序章 問題と方法

第1章 宝くじ

第1節 宝くじとは

第2節 収益金の使途

第3節 歴史

第2章 「えべっさんの街」布施

第1節 東大阪 布施

第2節 商店街の形成

第3節 布施戎神社

第3章 布施ポッポアベニューチャンスセンター

第1節 布施ポッポアベニューチャンスセンター 

第2節 従業員 恵美須屋理代子氏の語り

第3節 来店客 N氏の語り

第4章 現場から見た宝くじの現状と将来

第1節 宝くじの現状

第2節 ネット販売

結び

謝辞

文献一覧

【本文写真から】

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写真1 布施ポッポアベニューチャンスセンター看板

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写真2 布施ポッポアベニューチャンスセンター

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写真3 布施戎神社 戎像

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写真4 布施戎神社

【謝辞】

本論文執筆にあたり、お忙しい中お話を聞かせてくださった布施の商店街の皆さま、お忙しい中お時間をいただきお話をしてくださった布施ポッポアベニューチャンスセンターの恵美須屋様、客として来店しているにもかかわらずお時間をとってお話をしてくださった方、ご協力いただきありがとうございました。

皆様のご協力なしには本論文を完成させることはできませんでした。心よりお礼申し上げます。