関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

フィンランド人宣教師の宗教・生活誌―西宮南ルーテル教会をフィールドとして―

【要旨】
 本研究は兵庫県にある西宮南ルーテルキリスト教会をフィールドに、日本におけるフィンランド人宣教師の宗教・生活世界を明らかにしたものである。
 本研究では、フィンランド人宣教師で、初期の日本での開拓伝道に尽力した、ヨルマ・ピヒカラ師、その妻であるレア・ピヒカラ師、そして、現在西宮南ルーテルキリスト教会の責任牧師を務めるラウリ・パルム師、宣教師であり、ラウリ師の妻であるアサコ・パルム師を中心に聞き取り調査を実施した。
 本研究で明らかになった点は、つぎの通りである。
 
1.ピヒカラ・ヨルマ師は何度もの神とのやりとりにより、やっとクリスチャ  ンになることができた。
2.ピヒカラ夫妻は、信仰が政府に制限されている国への伝道活動にも貢献し  た。
3.パルム夫妻は、ともに両親が宣教師であったが、最初から宣教師になろう  とは考えていなかった。しかし、両者ともに、神様の奇跡である「子供」  が生まれ、親となって宣教師になるとを決意した。
4.宮城県七ヶ浜町の高山ビーチカンパニーという、日本にいる外国人宣教  師家族のみが使用できるリゾート地がある。
5.宣教師のサイクルは、伝道国に5年、母国へ帰国1年の繰り返しである。
6.教会の主な活動は、礼拝、聖書を読む会、クッキングクラス、英会話、   フィンランド語教室、などである。
7.宣教師は、派遣先の国の文化を第1に考える。
8.宣教師になるためには、適性検査を通過し、その後訓練期間を経る必要  がある。

【目次】
 
序章 問題の所在・・・・・・・・・・・・・・・3
 第1節 問題の所在・・・・・・・・・・・・・4
 第2節 フィンランドキリスト教・・・・・・4
 第3節 フィンランド・ルーテル宣教会(FLM)と日本・・・4
 第4節 西宮南ルーテル・キリスト教会・・・・8

第1章 ピヒカラ夫妻・・・・・・・・・・・・11
 第1節 ピヒカラ師夫妻キリスト教・・・・・12
 第2節 宣教師の宗教誌・・・・・・・・・・18
 第3節 宣教師の生活誌・・・・・・・・・・31

第2章 パルム・アサコ師・・・・・・・・・・35
 第1節 パルム・アサコ師とキリスト教・・・36
 第2節 宣教師の宗教誌・・・・・・・・・・37
 第3節 宣教師の生活誌・・・・・・・・・・40

第3章 パルム・ラウリ師・・・・・・・・・・43
 第1節 パルム・ラウリ師とキリスト教・・・44
 第2節 宣教師の宗教誌・・・・・・・・・・46
 第3節 宣教師の生活誌・・・・・・・・・・56

結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61

文献一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・63

【本文写真から】

写真1−1 ヨルマ師とレア師
(ヨルマとレア・ピヒカラの日本語ホームページより


写真2−1 アサコ・パルム師 西宮南ルーテル・キリスト教会ホームページより


写真3−1 ラウリ・パルム師 西宮南ルーテル・キリスト教会ホームページより


写真3−2 西宮南ルーテル・キリスト教会の外観


【謝辞】
 本論文の執筆にあたり多くの方々に調査へのご協力をいただきました。
西宮南ルーテル・キリスト教会の責任牧師、ラウリ・パルム師、宣教師、アサコ・パルム師、そして、アサコ師のご両親であり、FLM(フィンランド宣教会)に所属し、日本での開拓伝道に素晴らしい礎をお築きになった、ピヒカラ・ヨルマ師、ピヒカラ・レア師。そして、西宮南ルーテル・キリスト教会の教会員の方々。
 お忙しい中、調査のために貴重なお時間を割いていただき、大変貴重なお話をして頂きましたことを心より、感謝申し上げます。