関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

屋台の戦後史-久留米市の事例-

屋台の戦後史-久留米市の事例-

古賀美月

【要旨】

本研究は戦後の屋台について、久留米をフィールドに実地調査を行うことにより、戦後の屋台の移り変わりを明らかにしたものである。本研究で明らかになった店は、次のとおりである。

1、戦前の久留米にはほとんど屋台はなかった。

2、戦後の引揚者や戦争被災者が生計を立てるために屋台を引き、増えた。

3、久留米が旧軍都であり、旧兵舎が引揚者住宅になったこと、商工業の発展の可能性があったことにより多くの引揚者が集まり、多くの屋台が軒を連ねた。

4、新興市場という引揚者の市場があった。今は飲み屋街の「新世界」として残っている。

5、新興市場が廃れたあと、屋台を引いていた人が住むことになり「新世界」となる。

6、「新世界」で儲けた人々は「文化街」へ移行した。

【目次】

第1章 屋台とは――――――――――――――――――― 1
 第1節 屋台の歴史・・・・・・・・・・・1
 第2節 屋台の仕組み・・・・・・・・・・3

第2章 久留米の屋台―――――――――――――――――19
 第1節「南京千両」・・・・・・・・・・・19
 第2節 引揚者と屋台・・・・・・・・・・20
  旧軍都久留米
  久留米の商工業の発展と可能性
 第3節 新興市場・・・・・・・・・・・・26

第3章 戦後屋台のライフヒストリー――――――――― 46
 第1節 潘陽軒・・・・・・・・・・・・・46
 第2節 氷屋 古賀ミツコさん・・・・・・46

まとめ――――――――――――――――――――――― 50

文献一覧―――――――――――――――――――――― 51

あとがき―――――――――――――――――――――― 51

【本文写真から】

(写真1)開店前の屋台

(写真2)旧山砲兵第3大隊(引揚者住宅)周辺の現状

(写真3)現在の新世界のようす

(写真4)文化街のようす

【謝辞】
現地調査にてお話しいただいた南京千両の宮本チエ子さん、潘陽軒の方々、中垣市子さん、氷屋の古賀ミツ子さん、泉屋酒店の土師康博さん、引き屋の笠康則さんに心より感謝申し上げる。
その他、ご協力いただいた全ての方々に、深くお礼申し上げる。