関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

電鉄社員の家族史/誌―阪神電鉄一家3世代の淡路・阪神・台湾―

電鉄社員の家族史/誌―阪神電鉄一家3世代の淡路・阪神・台湾―

大木 言葉

【要旨】
本研究は、私の祖父、父について、私の家族と阪神地域をフィールドに調査を行うことで、近代の人の移動と、阪神電鉄・電鉄系企業に勤めた一家の家族史を明らかにしたものである。本研究により、祖父、父、私の3世代は連続性の無い人生を送っているものかと感じていたが、実際は多くのことが祖父・父親の関係で繋がっているということ、また、それぞれの人生における時代背景が一人一人の生き方に大きく影響していること(すなわち、父は祖父が淡路から阪神地域に来ていなければ、阪神百貨店に勤める事は無かったし、私も父が台湾に興味を持ち、台湾の阪神系百貨店に勤務していなければ、台湾に留学することは無かったということ)、などが明らかになった。以上のように、本研究では、企業、地域、家族、個人の間のダイナミックなつながりの実態を解明したものである。

【目次】         

序章  ――――――――――――――――――――――――――1          

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第1節 阪神電気鉄道株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・2

第2節 台湾と日本・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 

第1章 淡路島から阪神間へ  ―――――――――――――――3

第1節 当時(明治〜大正、昭和)の淡路島・・・・・・・・・・3

第2節 阪神間へ移動する人々・・・・・・・・・・・・・・・・4

第3節 阪神間の繁栄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
   (1)阪神工業地帯の歴史 5
   (2)阪神モダニズム文化 5

第2章 祖父のライフヒストリー ――――――――――――――7

第1節 淡路にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

第2節 阪神電鉄へ入社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(1)阪神電鉄株式会社 8
(2)入社時の阪神 20

第3節 支那事変へ出征・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第4節 電鉄社員として・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
(1)戦地からの帰還 29
(2)終戦後 30

第3章 父のライフヒストリー ――――――――――――――39

第1節 阪神電鉄に囲まれた生活・・・・・・・・・・・・・・39

第2節 阪神百貨店入社・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

第3節 中国への関心と台湾の友人・・・・・・・・・・・・・44

第4節 漢神へ出向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51

第5節 帰国と退職・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

第4章 台湾へ ―――――――――――――――――――――55
第1節 現在の台湾・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
  (1)台湾の歴史 55
  (2)現在の台湾 57
第2節 黄さん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57
第3節 台湾にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60
  (1)私と台湾の関係 60
  (2)師範大學 61
結語 ――――――――――――――――――――――――――71
文献一覧 ――――――――――――――――――――――――72 

【本文写真から】

写真1.祖父の電鉄社員時代。



写真2.父と台湾人の友人。右下が私の父である。


写真3.私の台湾での拠点である師範大学。


【謝辞】
この論文を書くにあたり、私の父には多くの時間を裂き協力をして頂いた事に非常に感謝しております。私の知らなかった祖父や父の人生を知ることが出来ました。また、親戚の叔母には、空襲の体験の話や祖父の若かりし頃の話を、一生懸命に思い出してくれ、非常に積極的に協力してくれた事に感謝申し上げます。
台湾については黄さん、そしてご一家の方々に感謝申し上げます。
父、叔母そして黄さん、本当にありがとうございました。