関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

島村ゼミ卒業論文要旨集

加賀鳶梯子登りの芸能民俗誌−秘伝・マニュアル・個別性−

【要旨】 「加賀鳶はしご登り」とは、江戸時代に火消が火災現場で高いはしごを立て、頂上から火事の状況や風向き、建物の状況を確かめたことに始まり、さらには高所での作業を行うための訓練、度胸勇気をつけるためにも行われたと言われている。現在は27種の…

開発と竹林―千里地区の事例から―

開発と竹林―千里地区の事例から― 山崎晴香【要旨】 本論文では大阪府の千里丘陵をフィールドに実地調査を行い、昭和30年代千里が開発される前までコメの栽培が難しいこの地で収入源となっていたタケノコおよびそのもととなる竹林が開発による大きな減少を経…

長浜の「蛇の舞」—雨乞い儀礼から芸能へ—

佐久間祐希 【要旨】 本研究は、滋賀県長浜市永久寺町をフィールドに、「蛇の舞」を継承する「蛇組」を主な調査対象として実地調査を行うことで、その起源、そして一つの雨乞いが芸能へと昇華されていくまでの過程を明らかにしたものである。本研究において…

蔵の民俗誌―大阪市鶴見区旧古宮村の事例―

【要旨】 本論文は、大阪市鶴見区旧古宮村をフィールドとして、この地域一帯における旧農家の蔵について聞き取り調査を行うことで、農家であった頃の水路を利用する日常生活と、その暮らしの中での蔵への関わり方について記述したものである。本研究で明らか…

都市修験の民俗誌―名古屋市・倶利加羅不動寺の事例―

都市修験の民俗誌―名古屋市・倶利加羅不動寺の事例 中村優花【要旨】 本研究は、名古屋市守山区にある倶利加羅不動寺をフィールドに実地調査を行うことで、都市における修験とシャーマニズムのあり方を明らかにしたものである。本研究で明らかになった点は、…

繊維のまちの生業史―岡山県児島における地場産業の変遷をめぐって―

繊維のまちの生業史―岡山県児島における地場産業の変遷をめぐって― 吉川奈緒子【要旨】 本研究は、岡山県倉敷市児島をフィールドにしたものである。児島の地場産業である繊維業について実地調査を行うことで、繊維業を営む上でそれぞれの会社が行っている事…

ヤミ市系商店街の民俗誌―一宮・真清田神社前繊維街の事例―

藤村雄一郎 【要旨】 本研究は、愛知県一宮市にある真清田神社前繊維街をフィールドに実地調査を行い、その形成史及びヤミ市とのつながり、そこで生きた商人たちについて記述し、真清田神社境内に形成されたヤミ市系商店街の展開を明らかにしたものである。…

音を作る―尾張の木魚職人―

音を作る―尾張の木魚職人― 仲森裕樹【要旨】 本研究は愛知県の尾張の木魚職人について、愛西市と一宮市をフィールドにし実施調査を行うことで、木魚作りの方法とそして技術とその道具を紹介し現在木魚職人の世界がどのようなものになっているかを明らかにし…

手織りアートの創出―泉州で生まれた「さをり織り」の事例―

手織りアートの創出―泉州で生まれた「さをり織り」の事例― 山田 早織【要旨】 本論文は大阪府和泉市において創出された新しい手織り「さをり織り」について、その創始者、城みさを氏が「さをり織り」を生み出した経緯と、それがその後どのように人々の間に広…

ヤブの民俗誌―広島県呉市における祭礼の先導者をめぐって―

ヤブの民俗誌―広島県呉市における祭礼の先導者をめぐって― 小谷 悠【要旨】 本研究は、広島県呉市の「ヤブ」という鬼文化について、高尾神社、恵美須神社、平原神社、鯛之宮神社、貴船神社、吉浦八幡神社をフィールドに実地調査を行うことで、ヤブの多様性と由…

舞子と火虫の民俗誌 ―広島市安佐北区における奉納神楽・奉納花火―

山代哲也 【要旨】本研究は、広島市の奉納神楽(安芸十二神祇)と奉納花火について、広島市安佐北区をフィールドに実地調査を行うことで、過去と現在の広島市の奉納神楽や奉納花火の在り方や神楽の舞方と花火師(火方)の神楽と花火に対する認識の在り方につ…

アイスクリーム行商の民俗誌ー長崎市の「ちりんちりんアイス」をめぐってー

アイスクリーム行商の民俗誌ー長崎市の「ちりんちりんアイス」をめぐってー 大庭 明剛 【要旨】 本論文は、長崎市に根付く行商のひとつであるちりんちりんアイスについて、長崎県長崎市をフィールドに冷菓会社や売り子さんに実地調査を行うことで、創業から…

ストーリーテリングとネオ・フォークロア―市民民俗学の可能性―

ストーリーテリングとネオ・フォークロア―市民民俗学の可能性― 安井 萌【要旨】 本研究は、尼崎のネオ・フォークロア運動、なにわ語り部の会を対象に実地調査を行うことで、国内における「ストーリーテリング=語り」の状況を明らかにし、「聞き」と「語り」…

Roadside Cross in Contemporary Memorial Culture (Holly Everett著。翻訳)

Roadside Cross in Contemporary Memorial Culture (Holly Everett著。翻訳)増田智美【要旨】 本稿は、アメリカテキサス州オースティン地区にある沿道の十字架(ロードサイドクロス)を扱った、民俗学者で、カナダのMemorial University of Newfoundland民…

死霊と遺品 ―伊勢・志摩における新亡祭祀をめぐって ―

死霊と遺品 ―伊勢・志摩における新亡祭祀をめぐって ―児玉裕佳【要旨】 以上、本論文では、三重県の朝熊山・金剛證寺、松阪市・朝田寺、志摩地方をフィールドに、新亡祭祀で用いられている「遺品」に注目し、事例の採集、分析を行うことで、どのような遺品が…

「武雄古唐津」における伝統と創造―佐賀県武雄市の陶工たち―

「武雄古唐津」における伝統と創造―佐賀県武雄市の陶工たち―吉野 有紀【要旨】本研究は、武雄古唐津の陶工たちについて、佐賀県武雄市をフィールドに実地調査を行うことで、陶工たちが行う古唐津の伝統と創造を明らかにしたものである。本研究で明らかになっ…

貝ボタンと真珠核―貝殻をめぐる生業史―

貝ボタンと真珠核―貝殻をめぐる生業史― 伊藤 美尋【要旨】 本研究は貝殻によって作られる貝ボタンと真珠核について、奈良県川西町、大阪府松原市、兵庫県洲本市をフィールドに実地調査を行うことで、貝ボタンと真珠核の広がりと現在の状況を明らかにしたもの…

共同窯と個人窯―丹波焼の事例―

共同窯と個人窯―丹波焼の事例― 平山佳奈【要旨】 本研究は、やきものに用いられる共同窯と個人窯について、日本六古窯の一つである丹波焼を事例に複数の窯元や美術館等において実地調査を行うことで、過去と現在の窯の在り方について明らかにしたものである…

石油人生―五島福江島荒川港における油業販売者の生活史―

石油人生―五島福江島荒川港における油業販売者の生活史―伊原育美【要旨】 本論文は長崎県五島列島玉之浦町荒川地区をフィールドに実地調査を行うことで、伊原幾美氏が石油業に携わった50年間の人生を紐解き、そこから見た荒川港が殷賑を極めた時代について、…

「無形文化財」の創出と伝承―筑前博多独楽の事例から―

「無形文化財」の創出と伝承―筑前博多独楽の事例から― 川合真由美【要旨】 本研究は、福岡市で河崎博行(初代筑紫珠楽)によって再興され、その後、3代に渡って伝承されている筑前博多独楽について、実地調査を行うことで、一度途絶えた芸能が「現在の古典…

和歌山の接待講―有田接待講と野上施待講―

和歌山の接待講―有田接待講と野上施待講― 藪 実咲【要旨】 本研究は、和歌山県にのみ存在する「接待講」について、有田市箕島にある天甫山大師堂、紀美野町下佐々にある下佐々大師寺をフィールドに、実地調査を行い、そこの世話人たちが創りあげてきた有田接…

ブルーグラスを生きる人々―神戸・宝塚をフィールドとして―

ブルーグラスを生きる人々―神戸・宝塚をフィールドとして―水河 美咲【要旨】 本研究は、少数に支持されるブルーグラスミュージックが受け継がれる理由について、神戸・宝塚をフィールドに実地調査を行うことで、その理由を明らかにしたものである。本研究で…

不動産40年―バブルにおける不動産開発を生きるー

社会学部 岡本あゆみ【要旨】 本研究は某不動産会社で実地調査を行い、同じ土地で生まれ育った不動産業者と大工がM市に移り、昭和から平成にかけてバブル社会の中で住宅開発に取り組んだというストーリーを、経験によって得た知恵に焦点を当ててまとめたも…

御札と宝来―高野山における呪符の生産をめぐって―

【要旨】 御札と宝来―高野山における呪符の生産をめぐって― 大山瑞穂 本研究は、高野山をフィールドに、呪符、とりわけ御札と宝来の生産者に焦点を当てた実地調査を行うことで、高野山の文化と、それを支える裏方の仕事の中で彼らがどのように生きているのか…

洗濯屋の民俗誌―阪神間における洗濯職人の事例から―

洗濯屋の民俗誌―阪神間における洗濯職人の事例から― 弘津 遊 【要旨】 本論は兵庫県から大阪府にかけての阪神間という地域を対象に、「洗濯屋」という民俗集団及び職業集団について調査を行い、職人として洗濯屋で働く人々とその家族が行う生活実践や語りを…

大阪の「伊勢屋」 ―鮮魚行商から鮮魚店へ―

大阪の「伊勢屋」―鮮魚行商から鮮魚店へ― 安田 朱音 【要旨】大阪には「伊勢屋」という名前の個人営業の鮮魚店が多く存在する。本研究は、なぜ大阪に鮮魚店の「伊勢屋」が集中するのか、大阪と伊勢の地理的関係や時代背景、また現在それぞれの「伊勢屋」がど…

菊間瓦の民俗誌―愛媛県今治市菊間町の瓦産業―

菊間瓦の民俗誌−愛媛県今治市菊間町の瓦産業― 大河内麻未 【要旨】 本研究は、愛媛県今治市菊間町をフィールドに、菊間町の伝統産業である「菊間瓦」について参与調査とフィールドワークを行うことで、菊間の瓦産業の変遷、瓦職人たちの瓦への関わり方を明ら…

はしけ船員のライフヒストリー ―愛媛・岡村島から姫路・広畑へ―

はしけ船員のライフヒストリー ―愛媛・岡村島から姫路・広畑へ― 渡辺 早紀 【要旨】本研究は、はしけ船員であった祖父、田中彰夫氏のライフヒストリーについて、愛媛県越智郡岡村島と兵庫県姫路市広畑をフィールドに実地調査を行うことで、岡村島の特色、戦…

皮革産業の民俗誌ー姫路の事例ー

皮革産業の民俗誌—姫路の事例— 氏田 楓 【要旨】 本研究は、姫路の皮革産業について、高木、御着、四郷町をフィールドに実地調査を行うことで、皮革業と共に歩みを進めてきたまちの変遷、特徴、今日までどのように伝承され生産されてきたのかについて、その…

「そろばんのまち」の民俗誌−島根県奥出雲町の「雲州そろばん」をめぐって−

「そろばんのまち」の民俗誌−島根県奥出雲町の「雲州そろばん」をめぐって− 原 修也【要旨】 本研究は、島根県仁多郡奥出雲町横田をフィールドに、雲州そろばんについての実地調査を行うことで、まちとそろばんの関係や、なぜ横田でそろばんが産地化したのか…