関西学院大学 現代民俗学 島村恭則研究室

関西学院大学大学院 現代民俗学 島村恭則研究室

小樽の都市民俗学

「ソーラン節発祥之地」はどこか?−ソーラン節と余市・積丹−

川本 彩 はじめに −ソーラン節と余市・積丹− (1)北海道に二つあるソーラン節発祥の地の碑 北海道には、ソーラン節の発祥の地の記念碑が2つある。 一つは、北海道余市町豊浜にある。(写真1)彫られてある内容:「ソーラン節発祥之地」 建立年:昭和36…

小樽と地酒

小樽と地酒 〜なぜ、小樽で酒造業は栄えたのか〜 日野 秀哉はじめに小樽は多様な地場産業に支えられて成長してきた都市である。特に、硝子産業や水産加工業そして菓子産業などは今でも小樽を代表する主要な地場産業となっている1)。これらの小樽を代表する…

「桜町」と「堺町」

「桜町」と「堺町」 渡邉 那奈はじめに 「小樽」と聞くと何を思い浮かべるであろう。運河、ルタオ、倉庫群。今や観光地と化した小樽であるが、昔はニシンの漁が盛んで、北前船の往来により栄えていた時代もあった。時代をさかのぼれば、小樽の歴史的背景が見…

小樽と小豆

小樽と小豆二上 愛第一章 小樽と小豆産業(1)栄光とその時代 小樽における小豆の豆撰産業の発達は、明治22年(1899年)に小樽港が特別輸出港に指定され、日本でも有数の貿易港として発展していくことと大いに関係する。小樽港で取り扱う品目は石炭、海産物…

「火災都市」小樽と「ブン公」伝説

「火災都市」小樽と「ブン公」伝説 今北 有美はじめに小樽と聞いて我々が思い浮かべるのは小樽運河とそれに並ぶレトロな石造りの倉庫である。今では小樽観光において外すことのできない大きな目玉となっている。しかし、倉庫は当初から観光が目的で建てられ…

小樽のニュータウン

小樽のニュータウン 木戸 彩香はじめに 北海道小樽市という土地を聞いて思い浮かぶのは、小樽運河、レンガ造りの倉庫、市場など港に関することでではないだろうか。それは、今日の小樽が観光地化され、マスメディアでも観光地として報じられ、視覚的に我々の…

俗地名から見る高島

俗地名から見る高島 尾崎 有香子はじめに 俗地名とは、実際の住所としては存在しない地名のことであり、その土地に住む人々によって名付けられたものである。今回の調査を進めるにあたって我々独自で俗地名と称し、以下もそのように記す。俗地名はその土地の…

そば屋から見る小樽のまち

1 小樽とそば屋 ・小樽にそば屋が多いわけ 明治時代、北海道は政府によって開拓され、また多くの天然資源の多い土地でもあった。特に夕張や美唄は石炭がよく取れた。その石炭などを本州に運ぶために小樽は政府の政策で本州と北海道をつなぐ強固な懸け橋とな…

小樽と映画館

吉田 依里香はじめにアメリカの発明王エジソンがキネトスコープを発明したのは明治22年(1889年)のことだった。その7年後の明治29年の秋、日本の神戸に初めてキネトスコープが上陸し、新開地を拠点に次々と映画館ができる。そして早くもその1年後小樽の小樽…

高島の伝統行事とアイデンティティ

高島の伝統行事とアイデンティティはじめに このレポートは社会調査実習の一環として、北海道小樽市で行った調査をまとめたものである。私は小樽市の一地区、高島地区にて主に聞き取り調査を行った。その上で、高島地区における七夕行事、高島越後盆踊りとい…

小樽遊廓史

小樽遊廓史永田 拓也第1章 遊廓の誕生(1)遊廓が生まれるまで 17世紀末から、幕府を中心とした農業の振興政策によって、農業の肥料であるに鰊粕の需要が急激に伸び、北海道各地には、鰊の漁場として人々が集まるようになった。 出稼ぎ人が多く集まると…